そしてアルバム発売から3日ほど経った時、メンバーが突然家にやって来て、6畳に俺を含めた大人5人が座ると、榎絃が口を開いた。
「高志、ライブに出てくれないか」
「え?なに言って…俺はもうチャットのメ…」
「メンバーじゃないとかふざけたこと言おうとしてるならぶん殴るぞ」
「俺たちはずっと仲間だろうが」
「そうそう。高志がしたあれこれもチクらない俺らが結束力マジ最強の絆だろ」
「はははは、確かに!!」
「けどよ、お前がライブに出ないとか言うならあれやこれやは墓場まで持って行けねーなー。ああ俺口滑りそ~う~」
「俺も俺も~」
「どうする?高志」
光希は小さく笑い、秋臣も榎絃も柊斗もにやにや笑いながら俺の答えを待っていた。
"私の名前がゆくゆくは有名バンドになる高志くんの名前になるなんて嬉しいよ!"
嬉しそうに笑う春音の声が今も鮮明に聞こえた。
ハルと名乗ってからのライブの日は嬉しそうに笑って手を叩きながら聞いてくれていた春音がいた。
"なんか私も有名人になっちゃうね!"
「出る…」
「おっしゃあああああ!!じゃあさっそく今日からとっくんじゃい!!」
そう言ってメンバーは次々に俺にハイタッチをした。
