涙も枯れた翌朝、まだ薄暗い部屋のテレビを付けた時、知らないアナウンサーが伝える女子中学生がいじめを苦に自殺したというニュースを見た。
そして、別の番組では、数年前にいじめを苦に自殺した男子高校生の事件のその後を伝えていた。
「なくならないいじめ。どうしたらいいのでしょうか、佐々木さん」と、コメンテーターの佐々木がそんなこと出来たら苦労しねぇよとテレビの前で俺が呟くような薄っぺらいコメントをしていた。
そして俺は今までなんとなく聞いてはきっと耳を通り抜けていたいじめを苦に自殺した人たちが沢山いる事実を知った。
「こんなにいるのかよ…」
その苦しみをわかったように話すコメンテーターやキャスターの言葉はどこか薄っぺらくて、中なのはこんな風に取り上げられることもない人たちがいて、春音の声もまた誰にも届かないままだ。誰にも届かないまま。
そうしてSNSを見ていたある日、女子高生が車を出してくれる人~。と数枚の諭吉を並べた写真を投稿していたのを見て、いいよ。と何気なく返事をしたのが彼女、白神羽流との出逢いだった。
