明日キミに聴かせたい


「本当にいいのか高志?」

「……うん……」


俺はメンバーや事務所と話し合った結果、自らメンバーから外れることを望んだ。

やがてデビューを迎えたチャットに俺の名前はなかった。

そして、メンバーは心機一転だと事務所の意向で名前を変更してのデビューとなった。

変更後は知っての通り、、、
ドラムのAki
ギターのHaru
ベースのFuyu
ボーカルのNatsu

その名前を光希から受け取ったデビューシングルのCDの歌詞カードで見た時、Haruの文字に俺は春音の声を聞いた。


「え~仕方ないな~なんてうそうそ!私の名前がゆくゆくは有名バンドになる高志くんの名前になるなんて嬉しいよ!なんか私も有名人になっちゃうね」


なんて言いながら笑った春音の声が涙を誘い、俺は春音を忘れられずにいた。


「春音ちゃん…いじめに合ってたらしい」


光希から聞いたのは、俺が引きこもって半年ほどが過ぎた頃だった。

相変わらず、いや、更に散らかった6畳の部屋の真ん中の置かれたテーブルに広げたスナック菓子を口に運びながら光希はそう言った。

春音は俺と付き合ってしばらく経った頃からずっといじめに合っていたらしく、その春音の叫びが綴られたノートが部屋のクローゼットの奥から出てきたらしい。とも話した。

その言葉に、気づきもしなかった自分を、あんなにずっと一緒にいたのにと自分を責めながら泣いた。