明日キミに聴かせたい


ずっと数え切れないほど聴き続けてはどんな夜も乗り越えて今日まで息をしてこれた。

コウの歌には他の誰にもない現実味があって、沢山の言葉が自分に向けられているようで、離れればすぐに聴きたくなるほど不安もどんな怖さも和らげてくれた。

眠れない夜も、コウの歌声だけはすぅっと私の中に入って静かに包み込みながら夢の中へと誘ってくれた。

コウが私を生かしてくれた。なんて聞く人が聞いたら大袈裟だとかってバカにされちゃうのかもしれないけれど、笑わないで。私は真剣に言ってるんだよ。本気で思ってるんだよ。コウが私を生かしてくれてるんだよ。

例え誰もがバカにしても伝えたい言葉は、感謝は、沢山沢山ありすぎてこんな頭じゃとてもまとまらなくて、こんな感情じゃとても話せなくて、それでもどうしたって目の前にいる人に伝えたくて、もうぐちゃぐちゃになりながら私は沢山のありがとうを伝え続けた。

途中で何度も止まる声に混ざる泣き声にも、しっかり耳を傾けて何も言わずに聞いてくれている真城さんに私は、もう無茶苦茶でぐちゃぐちゃなままの想いを伝えながら何度も何度も「ごめんなさい」も伝え続けた。


「……はぁ…っく…」


全ての想いをしっかりちゃんと伝えられたかなんてもう自分でもよくわからなくて、だけど真城さんは変わらず私に微笑みを向けながら「ありがとう…」ともう一度私の頭にふわりと触れた。


その手の温もりはとても居心地が良くて、本当に夢の中にいるような気持ちになれた。