「座って…」
私は熱いままの目を少し拭いながら用意された座布団の上にゆっくりと座った。
すると、一緒に座ったはずの光希さんは「飲み物入れてくる」と言ってすぐさま立ち上がるなり部屋を後にした。
シンとした部屋の中で男性は「その…あの時はごめん…ね」と口を開いた。
「自分があんな投稿に返事して車出したせいで…」
「…あの…」
「あ、ごめん。名前まだ言ってなかったよね。真城 高志(ましろたかし)っていいます」
「あ、私は…」
「羽流ちゃん…だよね?白神羽流ちゃん…光希から名前聞いてて」
「そう…ですか…」
なんでだろう。この人は、真城さんは何も悪くなんかないのに、目を合わせることを抵抗してしまっている自分がいた。
そして一度何かを思い出してしまったら止まらないまま記憶はパーンと弾けてバラバラになって私に見せつけてきた。
