まだ少し息を切らしながら光希さんのマンションに辿り着き、到着メッセージを送ろうとした時「羽流ちゃん?」とすっかり薄暗くなった先から光希さんがひょこっと現れた。
「え、どうしてここに?」
「羽流ちゃんのことだから時間ちょうどに来るかもって思ってちょっと前から待ってた」
「すいません!寒い中お待たせしてしまって!!」
「いや、まだ17時になってないから」
そう言って光希さんが見せてくれたスマホ画面には16時56分と表示されていた。
「じゃあ行こうか」と光希さんと私はマンションの中に入り、あの日と同じエレベーターにのって乗り、当然のように同じ階で降り、光希さんは当然同じドアの前に立って鍵を開けて私を招き入れた。
「お、お邪魔します…」
靴を脱ぐ私の後ろで光希さんは「そのまま奥の部屋行ってもらっていい?」と靴を脱いだ私に奥の部屋を指差しながら言った。
廊下を歩く私の後ろで鍵を閉めて靴を脱いだ光希さんも同じように私に続いた。
