明日キミに聴かせたい


「はぁ、はぁ!はぁ、はぁ!」


うっと何度も苦しい息を吐いて立ち止まりそうになりながら全速力で走り続けた。

あの場から早く早く離れたいと願った。


「はぁ、はぁ!はぁ、はぁ!」


どうして?赤山さんが今更謝る意味がわからなかった。

謝って許してもらえるなんて本気で思ったの?
白神ならすぐ許してくれそうとか思われたの?
赤山さんだけじゃない……私はいつまでだってずっと3人を許すつもりなんてない。



"正直ざまぁみろって思ってる自分がいるの"



ふといつか奈津が言っていたことを思い出して足はやがて小走りになり、徒歩へと変わっていった。


わからない誰かにたった数日嫌がらせされたぐらいであんなに変わるのかよ。

私なんてもっと……あんたたちがやられたことなんかよりもっともっと………


「つらか…っ……」


ほらやってきた目の奥から連れてこられた感情が目から溢れ出すのを道端で必死で耐えながら何度も息を吸っては吐いた。

これ以上思い出を引っ張り出されたら私は光希さんのマンションまで辿り着けないじゃない。と全力で振り払って前を向いた。