そして2限目が始まろうとした時、ピンポンパンポーンと校内放送が流れ、ざわついていた教室内は一瞬で静まり返った。


流れてきたのは、誰かもわからない男性の声と女子たちの音声だった。

「その子何?」
「いいから車出して」
「神樹湖までよろ~」
「なんで神樹湖?」
「いいから!さっさと車出せよ!ガンッ!」
「あんたは運転だけしてくれりゃいーの」
「ほら金~」

聞いたことない声はまだまだ続き、またも校内を先生たちが走り回っていた。

私たちの担任が教室にやって来ても音声は止まることなく流れていた。


「着いたけど」
「サンキュー。ほらさっさと降りろよバーカ」
「どんくさ」
「あははは」
「ほ~らここ神の湖だよ~懐かしい?あんたの故郷っしょ~はははは」
「入るには寒いか!ははは」
「行けんじゃない?あんた神の子なんだし~あはははは」
「ちょ、お前ら」
「あんたは黙ってそこで待ってりゃいいから。用が済んだら戻って来るからさ!ほら行くよ~歩け歩け~」
「やっ…」
「さっさと歩けっつー・・・ブツ!


そこで放送は切れた。
どうやらやっと先生の誰かが止めれたらしい。

けれど、私にはこれがなんの音声なのかわかってしまった。


これは……羽流が……

うっと口を塞いだのはそのあとに起こる出来事を私は羽流から聞いていたからだった。

これは羽流があの湖で体験した事の一部だと思った。