翌朝、うっすら目を開けると見慣れた女性が立っていた。
「おはよう…お母さん…」
「あ、起こしちゃった?ごめんごめん」
「ううん、起きた…」
「そう。ご飯一緒に食べる?」
「うん…」
「準備するわね」と言いながら私の部屋の隅に置かれているゴミ箱から袋を取り出して新しい袋を付け替えた母は、にこりと私に笑みを向けて部屋を出て行った。
母と朝に会話をするのは3日ぶりである。
我が家は共働きで、父は役所、母は駅前のお惣菜屋さんでパートをしている。
いつも今頃は出勤していて家にいないはずなのになと見た時計の針は8時を回っていた。
ま、休みか。とそれほど深刻に考える必要もないと気にもせず布団をめくり、ベッドに座って少し伸びをした後、スマホに触れようとしたけれど、母の「羽流~ご飯よ~」の声に立ち上がり、相変わらずボサボサの髪を気にもせずに裸足のまま部屋を出てリビングへと向かった。