【夢愛side】
玄関のクラスの表見てみると
同じクラスだった美帝

名前順で並んでも席は前後
お陰で入学式でも隣に座ってた。

今はクラスの子の名前が
名前順で呼ばれ、一人一人
返事をして起立している。
さっきの子の名前を知ろう、と
キョロキョロしていると、美帝に

「ちょーーと!どーしちゃったの?夢愛!
 珍しく落ち着きないじゃない!」

と言われた。するとその時
『菊原 慶太(ケイタ)』「はい」
という紹介がされた。
5組だ。出席番号は6番。
仲良くなれるかな。
どーしたら喋りかけれるんだろう。

私はモロ恋愛初心者である。
どうしたらいいのかなんて
考えてもわかるはずがない。
でも美帝に言えばきっと
合コンとか、そーゆーの出てきそうだし。
そー考えると、やめとこう。となってしまう。
『菊原 慶太』の響きがいつまでも
頭に残って、起立している彼を
見たくなってしまった。



「あーあー、だるかったねぇ。
 こーんな長いなんてきっと保護者も
 予想してなかったと思うよ〜」
「本当だよ。疲れちゃった。」
「ダメよ???意地でも今日は
 プリ行くんだから!!」
「わかってるって!」

体育館から教室まで、ずーっと
そんなやりとりをしていた。

ホームルームが終わり
美帝と玄関に行くと

「菊原くん!今日空いてませんか?」
「ねねね!遊び行こうよぉ〜!」
「カラオケとか、どおかな???
 いい声してるし!」

わちゃわちゃしていた。

「ごめん。俺、彼女いるから。」

と吐き捨てて、彼は、残念そうな
この場の女子たちを背に
帰っていった。

「なーんだ。こんな新学校だから
 あんなイケメン滅多にいないのにねぇ」
「もったいな!モテるの生かさないなんて」

みーんなケチつけていた。

もちろん。美帝も。

「ややや!あんな性格くそなやつやめときな!
 今日朝から校門でさ〜」

と自分のエピソードを話していた。

やがて駅のホームに着いた。
菊原くんの姿は見えなくて。
バス通なのかな。とか
徒歩かな。とか
もう電車乗っちゃったのかな。とか
変に色々考えた。

「大丈夫〜?今日ずーっと、ぼーっとしてる
 なんかあった?夢愛」
「いや、別に、何もなかったけど
 高校生って響きがさ、なんかいいなって笑」
「なにそれ!超子供!可愛いなぁ夢愛は!」
「やめてよ、もお」

とりあえず、誤魔化しOK。

そんなこんなしていると、電車が来た。

「うーわ、みんな乗んじゃん」
「やーばいね」

電車はぎゅうぎゅう。
潰されそうになりながら
私より7センチ小さい美帝を
守るように、立っていた。

やがて、プリを撮る場所の
最寄駅に着き、降りて
延長線上にいたのは

「あ!龍宇くん!おーい!」

美帝が走ってった。

「お!よお!美帝ちゃん、夢愛ちゃん
 同じ電車だったんだ!」
「本当だよね!人多くてわかんなかった!
 今からここで夢愛とプリ撮るの!」
「あー、いいね!みんなその目的かな
 多いかもね!まあ食べるところもあるもんな」
「うん!お昼も食べるつもり!」
「そかそか!俺も!
 中学の時の友達と待ち合わせしてんの」
「じゃあそこまでお供しよう!ね?夢愛」
「あ、うん」

180センチはあるな、と思いながら
隣を歩いた。私でも頭一個分くらいあいてる。

徒歩5分もしないうちに
龍宇くんのお友達と合流した。

「なに、イケメン揃いじゃん!」
「やめてよ美帝、もう、すみません」
「やや、この2人もなかなか美女でしょ?」
「それな?可愛いじゃん」
「でも、彼氏募集してるの、夢愛だけなんよぉ」
「ちょーっと!なんでそんなこと言うの
 恥ずかしいからやめてよぉ」
『あははっ』

笑ってた。龍宇くん。
お友達の中でもかっこいい方だし
背も高い。笑顔が何とも言えないくらい
きゅん、とした。

私、好きなのかな、龍宇くんのこと。