きみに花束を贈る日

「素敵ですね、そう考えられるのって」

きっと先輩の心の中は透き通っているんだろうな。

学校なんて面倒くさいからなくなればいいのに、なんて思っている自分が馬鹿みたいで、なんだか悔しくなった。

先輩にとっては一つ一つが大切な思い出なんだ。

「まあ、この話は誰にもしてないんだけどな。」

「えっ、わたしが聞いちゃってよかったんですか?」

「なんとなく話してもいいかなって思ったんだ。
他のやつらには内緒にな」

先輩は意地悪そうな笑顔をわたしに向けた。

「もちろん、言わないですよ」

「分かってるー」


先輩は寄りかかっていた教卓から体を離し、「行くかー」と呟いた。

もっと離したかったけれど、これから水やり当番で一緒になれるんだからと思うと嬉しくなる。

なんとなくわたしの平凡な毎日が変わる気がした。