「嘘、カレーパンがない…」
いつも買うカレーパンが売り切りていた。
お昼の売店はパンがすぐに売り切れるので常に争奪戦だが、今日はそれをする暇もなかったようだ。
今日はカレーパンだけのお金しか持ってないいけど、どうしよう…
軽く落ち込む私の前に、誰かの手によってカレーパンが差し出された。
「え?」
隣を見ると、そこには藤宮先生がいる。
「欲しいんだろ、これ」
偉そうな口調でそう言われたが、私は遠慮して受け取ることができない。
「いいから」
そうすると、ほぼ強引にパンを渡された。
そして素早くお会計をして去って行く。
「なんで急に…」
人の心を読む天才なのか。
パンを見つめながら、私は申し訳なさと嬉しさを感じていた。