「ほとんど不正解って…」
職員室に戻り、俺は早速彼女がやってきた特別課題の丸つけをしていた。
ところが、問題のほとんどが不正解という事実が判明。
合ってるところを見つけるのが大変だぞ。
「これ合ってるとこ見つけるのが大変だな」
「…うわ!ってなんだ歩か」
俺のすぐ横で急に声がして、驚いて向いた先にいたのは歩だった。しかも俺が考えてたことと同じことを言う。
「これ何のテストなの?」
「これはテストとかじゃなくて、1人の生徒にだけ出した数学の課題だよ」
俺は歩に彼女のことを説明した。
「…なるほどな、けどその里島さんって結構すごいね。普通は初っ端からそんなに堂々とだらけたりできないけど(笑)」
確かに歩の言ってることもよく分かる。変な度胸があるんだけど悪い意味で全開だからな。
「お前の言う通り、やっぱりクラスに1人はいるんだな。心配になる奴って」
彼女を見ていて、最初に歩が言っていることが分かった。
「クラスってそんなもんだよ。問題がある生徒もしっかり責任持って見なきゃいけないし、放棄するわけにはいかないのが担任ってものだからね」
"担任"という言葉が、俺の体に重くのしかかった。
これからどんなことは待ち受けているのか。
不安だけど、期待したいという気持ちもある。
頑張っていくしかないな。