1時間目は数学だった。


課題は授業終わりに出そう。


数学の時間は寝れないな、寝たらまたなんかやらされそうだし…


軽く藤宮先生のことを睨む。


先生は私の目線なんか気にも止めずに授業を始める。


憂鬱すぎ、もう嫌…まず数学嫌いだし。


「この問題はこの公式を使って解きます。xがここにある場合、まずは類項して…」


的確に授業を進める先生。


先生は好きじゃない、けど…


でも、本当にかっこいい顔してるよね。


少し長めの黒髪から覗く目。鼻筋も通っていてどこか惹きつけるものがあるっていうか…


私は先生の顔をしばらく眺めていた。


「里島さん」


ボーっとしていると、先生は私の名前を呼んだ。


「ここの問題の答えを言ってください」


「え?」


当てられているこの状況。やばい、話聞いてなかった…


「はい。えっと…」


みんなと先生の視線が私に集中する。


えっと、ここはこうだからこうして…


頭の中で計算しようとすると、もっと分からなくなる。


「…すみません、分かりません」


結論、答えは導き出せなかった。


「話を聞いてれば分かる問題だったんだけどね、座ってください」


「はい…」


先生は私がボーっとしていたことに気づいていてわざわざ当ててきたのか。ほんっとに悪質…!