翌朝8時。
眠い目を擦りながら支度をしてホテルを出た。
向かうは静岡県浜松市。
大志が昨日言っていた寸又峡は明日行くとして、今日は浜松市で観光することになった。
車中では2人が好きな曲をかけてカラオケ状態。
好きなものを2人で共有出来ることが嬉しかった。
途中で見つけたお洒落なカフェでモーニングをして目的地に向かう。
出発から4時間かけて到着したのは、竜ヶ岩洞。
高校生が洞窟デート?なんて思う人もいるかもしれない。でも、これは社会人と高校生のデート。
…デートなのかは分からないけれど。
「うわー、すげーな。何年かけて出来たんだろうな」
「前見んとぶつかるよ」
なんて言ってる側から壁にぶつかる大志。
それでもずっと上を見上げてすげえすげえと声を漏らす姿はまるで子供のよう。
普段は目にすることのない自然の偉大さに、高校生のわたしでも綺麗だと思った。
1時間程で回り終え、昨日の二日酔いが若干疲れに出てきてしまったわたしに気付いた大志は「ちょっと休憩するか」と喫茶店に入ってくれた。
「紬、コーヒーはブラックなの?」
「うーん、砂糖とフレッシュの適量が分からんから入れるとよく分からん味になるで入れてないんやよね」
「へえ、大人じゃん」
なんとも情けない理由で飲んでいたブラックコーヒー。でも、大人だと言われたことが嬉しかった。
背伸びして、背伸びして、どこまで背伸びしたら、大志と並ぶのかな。そんなことをふと考えてしまう。
「大志くんって、恋愛対象の年齢幅いくつくらいなん?」
「え、急に?うーん…あんま気にしたことないなあ。紬は?」
「年下じゃなければいいかなあ」
あまりピンとくる返答ではなかったけれど、わたしが入る隙間はありそうだった。
「じゃあ、紬の好きなタイプは?」
「えっわたし?えーっとね…いい匂いがする人!」
「ははっなんだよそれ」
大志が笑った。
つられてわたしも笑った。
「でも、紬はいい匂いするよな。なんつーか、こんなこと言ったらただの変態おやじみたいだけど、ずーっと嗅いでたい匂いする。でも、シャンプーとかそういうのじゃないんだよな。なんなのあれ?」
「なにそれ!そんなんしやんよ!それやったら大志くんだっていい匂いするし!」
「それこそなんだよ!俺は無臭!」
側から見たら、わたしたちは恋人同士に見えるだろうか。お酒が入ってない状態で、こんなに笑って会話をするのは初めてかもしれない。でも、楽しい。なんともない話が、ただ喫茶店にいる時間が、楽しくて幸せで仕方なかった。
「さ、そろそろ晩飯行くか」
喫茶店の会計を済ませ、わたしたちは次の目的地へ向かった。
眠い目を擦りながら支度をしてホテルを出た。
向かうは静岡県浜松市。
大志が昨日言っていた寸又峡は明日行くとして、今日は浜松市で観光することになった。
車中では2人が好きな曲をかけてカラオケ状態。
好きなものを2人で共有出来ることが嬉しかった。
途中で見つけたお洒落なカフェでモーニングをして目的地に向かう。
出発から4時間かけて到着したのは、竜ヶ岩洞。
高校生が洞窟デート?なんて思う人もいるかもしれない。でも、これは社会人と高校生のデート。
…デートなのかは分からないけれど。
「うわー、すげーな。何年かけて出来たんだろうな」
「前見んとぶつかるよ」
なんて言ってる側から壁にぶつかる大志。
それでもずっと上を見上げてすげえすげえと声を漏らす姿はまるで子供のよう。
普段は目にすることのない自然の偉大さに、高校生のわたしでも綺麗だと思った。
1時間程で回り終え、昨日の二日酔いが若干疲れに出てきてしまったわたしに気付いた大志は「ちょっと休憩するか」と喫茶店に入ってくれた。
「紬、コーヒーはブラックなの?」
「うーん、砂糖とフレッシュの適量が分からんから入れるとよく分からん味になるで入れてないんやよね」
「へえ、大人じゃん」
なんとも情けない理由で飲んでいたブラックコーヒー。でも、大人だと言われたことが嬉しかった。
背伸びして、背伸びして、どこまで背伸びしたら、大志と並ぶのかな。そんなことをふと考えてしまう。
「大志くんって、恋愛対象の年齢幅いくつくらいなん?」
「え、急に?うーん…あんま気にしたことないなあ。紬は?」
「年下じゃなければいいかなあ」
あまりピンとくる返答ではなかったけれど、わたしが入る隙間はありそうだった。
「じゃあ、紬の好きなタイプは?」
「えっわたし?えーっとね…いい匂いがする人!」
「ははっなんだよそれ」
大志が笑った。
つられてわたしも笑った。
「でも、紬はいい匂いするよな。なんつーか、こんなこと言ったらただの変態おやじみたいだけど、ずーっと嗅いでたい匂いする。でも、シャンプーとかそういうのじゃないんだよな。なんなのあれ?」
「なにそれ!そんなんしやんよ!それやったら大志くんだっていい匂いするし!」
「それこそなんだよ!俺は無臭!」
側から見たら、わたしたちは恋人同士に見えるだろうか。お酒が入ってない状態で、こんなに笑って会話をするのは初めてかもしれない。でも、楽しい。なんともない話が、ただ喫茶店にいる時間が、楽しくて幸せで仕方なかった。
「さ、そろそろ晩飯行くか」
喫茶店の会計を済ませ、わたしたちは次の目的地へ向かった。
