この頃の絵梨花の態度は軟化しており、
今にも泣きそうなくらいだった。

「はい、本当はあたしも加奈が自殺してしまった事で、
いじめた事を後悔していました」

「もしかして絵梨花、
今度は絵梨花がいじめのターゲットになっているなんて事はないか?」

「そんな事ありません!」

「だったらどうして急に休みがちになるんだ、
先日あった試験のカンニング事件だって、
誰かにはめられたんじゃないのか?」

「だからそんな事ないって言ってるじゃないですか!」

「そうか分かった、
絵梨花がそこまで言うなら仕方ない、
とにかく学校には来てくれ、
いじめがないなら来れるだろ?」

「分かりました、気が向いたら行きます」

口ではそう言ったものの、
この時点で絵梨花は依然登校する気になれずにいた。

「じゃあ先生そろそろ帰るからな?
ちゃんと学校来るんだぞ!」

そう言うと本間は絵梨花の部屋を後にする。

階段を下りた本間は母親の絵理に挨拶をしつつ玄関へと向かった。

「お母さんおじゃましました、
これにて失礼します」

その声に奥から玄関先へと飛んでくる絵理。