しかし、清空と小夏の縁は、昨日今日に始まったような短いものではない。
この二人の縁は、清空が京の都に住み始めた頃からの短いようで長い付き合いなのである。
そもそも、清空が京で医者をする契機となったのが――この小夏であった。
清空が京の『あばら長屋』に住み着いてから、四か月ほど経った頃。
その頃から、清空は昼には寝ていて夜になると起き出すというような、普通の人間とは真逆の生活を送っていた。
その日も、清空は夕方に起き出して、長屋の外れにある井戸で身体を拭いていた――。
日は既に落ちかけていて、都市部である京の都でも日が落ちると同時に町はほとんどの人が寝てしまうので静かになる。
起きているのは、飲み屋や色町、それらに通う人々と――清空のような変わり者くらいである。
そんな変わり者の清空が、朝風呂代わりの井戸での行水を夜に嗜んでいると、長屋の入口から騒がしく駆け込んでくる一団があった――。
一団は戸板を担いでおり、その戸板の上に乗せられて、苦しそうに不規則な息をしていたのが――今よりもさらに幼き日の小夏である。
宵の口となる時間に、原因不明の発作に襲われたのだ。
この二人の縁は、清空が京の都に住み始めた頃からの短いようで長い付き合いなのである。
そもそも、清空が京で医者をする契機となったのが――この小夏であった。
清空が京の『あばら長屋』に住み着いてから、四か月ほど経った頃。
その頃から、清空は昼には寝ていて夜になると起き出すというような、普通の人間とは真逆の生活を送っていた。
その日も、清空は夕方に起き出して、長屋の外れにある井戸で身体を拭いていた――。
日は既に落ちかけていて、都市部である京の都でも日が落ちると同時に町はほとんどの人が寝てしまうので静かになる。
起きているのは、飲み屋や色町、それらに通う人々と――清空のような変わり者くらいである。
そんな変わり者の清空が、朝風呂代わりの井戸での行水を夜に嗜んでいると、長屋の入口から騒がしく駆け込んでくる一団があった――。
一団は戸板を担いでおり、その戸板の上に乗せられて、苦しそうに不規則な息をしていたのが――今よりもさらに幼き日の小夏である。
宵の口となる時間に、原因不明の発作に襲われたのだ。
