古藤道場は、仁科道場と比べると門構えは小さなものである。
しかし、そこに掲げられた檜で作られた看板は、古いながらも綺麗に手入れがなされており、門構えを見るだけでもどことなく格式のようなものを感じさせた。
何処で誰が見ているとも知れず――清空は一礼をしながら門をくぐり抜ける。
日は既に真上近くを通り過ぎており、道場も稽古の合間の休憩時間であろうということを考慮しての行動である。
門より大声で叫び、門人を呼び出すことにより、道場破りと勘違いされても困る、そんな気持ちも入り混じる。
情報を聞き出さなければならない、そういう目的を持っている限りは、行動は飽くまでも穏便に、出来れば好意的に迎えてもらえるようにする必要もある。
昨日訪れた仁科道場の場合は、これみよがしとも言える程に門と道場の距離が近かった。
勝手に門の中に入れば、道場の中にいる門人にその姿を見咎められる程であった。
故に、仁科道場の場合は入口で見学する交渉をせなばならなかったが、この古藤道場は少し違った。
いわゆる、普通の剣術道場の作りとういべきか。
門を抜けると道場主の家と思しき母屋の玄関が見える。
その手前に、左の方向へと繋がる石畳で出来た広い通路があり、その先には稽古場と思しき建物が見えている。
運が良ければ、師範や師範代にでも会えるだろうか――。
清空はそう考えながら稽古場の方へと歩を向けた。
しかし、そこに掲げられた檜で作られた看板は、古いながらも綺麗に手入れがなされており、門構えを見るだけでもどことなく格式のようなものを感じさせた。
何処で誰が見ているとも知れず――清空は一礼をしながら門をくぐり抜ける。
日は既に真上近くを通り過ぎており、道場も稽古の合間の休憩時間であろうということを考慮しての行動である。
門より大声で叫び、門人を呼び出すことにより、道場破りと勘違いされても困る、そんな気持ちも入り混じる。
情報を聞き出さなければならない、そういう目的を持っている限りは、行動は飽くまでも穏便に、出来れば好意的に迎えてもらえるようにする必要もある。
昨日訪れた仁科道場の場合は、これみよがしとも言える程に門と道場の距離が近かった。
勝手に門の中に入れば、道場の中にいる門人にその姿を見咎められる程であった。
故に、仁科道場の場合は入口で見学する交渉をせなばならなかったが、この古藤道場は少し違った。
いわゆる、普通の剣術道場の作りとういべきか。
門を抜けると道場主の家と思しき母屋の玄関が見える。
その手前に、左の方向へと繋がる石畳で出来た広い通路があり、その先には稽古場と思しき建物が見えている。
運が良ければ、師範や師範代にでも会えるだろうか――。
清空はそう考えながら稽古場の方へと歩を向けた。
