「…美月?」


黙り込んでしまった私に、お父さんが優しく呼びかける。


「…女の人、なんでしょう?」


「ああ。お父さんが、幸せにしたいと思えた人だよ」


少しだけあった、希望が…もしかしたら再婚じゃないかもしれないっていう可能性が、消えた。


「お父さんは、私よりも大切な人ができたんだね」


違う。こんな事言いたいんじゃない。


「美月…それは、違うよ」


「違わないよ。お父さんは、その人を幸せにするんでしょ? 私の幸せはどうでもいいんでしょ? じゃあ私の事なんかほっといて好きにすれば!?」


「美月!」


お父さんの声が追いかけてきたけど、私は無視して部屋に戻った。