僕の左隣からよく聞こえる糸さんの声。

糸さん……。

「でも私、おじさんを助けたいから…」

糸さんがおじさんに近づく気配を感じた僕。

「糸さ…」

「………生きて!!!」


「糸さん!!!!」



僕の動きを一瞬止めた糸さんの口は、動かないおじさんの左手の甲にそっと触れた。