「へえ、戻ったんだ」


「うん、まだ完全とは言えないんだけど」


「良かったな」


ぶっきらぼうに聞こえるけれど、決して疎ましく思っているのではないことが伝わってくる。


やっぱり、心はある方がいい。


毎日が今までよりも少しだけ明るい気がする。


それに、彗に近づきたい。


「……根底にあることは、変わらない?」


「どういうこと?」


「死にたいかってこと」


忘れていた感覚を思い出すようだった。


シニタイカッテコト。


いや、考えないようにしていただけ。


本当は、自分で気付いていた。


私は、


「変わらない」


「ふうん、俺も」


動揺を知られないようにゆったり歩く。


早く家に着け。


まだ白い息を吐き出す。


「……彗、死ぬの?」


「はあ?」


「死ぬ予定、あるの?」


「ねえよ、そんなの。

病気とか事故とか、降り掛かってきたらそういう運命なんだなって受け入れるつもりだけど」