雪の光



もう何度も見て薄汚れた教科書を見ながら、問題を解き進めていく。


順調に進んだり、進まなかったりするけれど、それに関してはあまり苛立たない。


貪るように問題を解いていると、下の方から呼ばれた。


「侑里、ごはん作っておいて。

お母さんこれから仕事だからー」


またか、と思う。


夜に仕事を入れているということは、学校から帰ってくる私と入れ違いになることをあえて狙っているに違いない。


私は、望まれていないんだ。


「聞いてんのー?」


「……分かった」


「じゃあ行ってくるからー」


バタン、とドアが閉まる。


お母さん、嬉しそうだったな。


面倒な家事を私に任せられて、自分はこの家からさっさと出ていけるんだから。


お腹なんて、そんなに空いていない。


食欲がないのだ。


食べ物を食べても味なんてしないし、吐いてしまう。


吐かないようにいつも調整しながら食べているのに、それに対してお母さんは気付いていないのか何も言わない。