雪の光



考えようとすると、頭の中がもやで満たされたように何もしたくなくなってしまった。


……死んでいるみたい。


一度手を伸ばした記憶の欠片から手を離した。


鞄の中からテキストを取り出す。


やることがないと、いつの間にか私は勉強をするようになった。


どこに行くにも、だいたい勉強道具を持つようになった。


中学生までは嫌で仕方がなかったのに。


だけど、勉強はいちばん無機質で、私のそばにいてくれるものだ。


やればやった分、自分に返ってくる。


おかげで私の成績はみるみるうちに上昇していった。


面白いことに、好きな科目は成績でかなり左右されるみたい。


数学は伸びてくると今まで見向きもしなかったのに毎日手をつけるようになった。


国語も、世界史も、理科も、全部。


勉強だけが心の拠り所になった。


世界史の教科書を開くと、生き返った心地がする。


こんなの、おかしいけど。