雪の光



月岡家は良く言えば『ひとりひとりが独立した人間の集まった家庭』だけれど、実情は世間一般で言う『家庭内別居』が起きている。


つまり、離婚寸前の家庭。


家庭の形も人格を作る重要な要素なんじゃないかと私は思っている。


そしてそれは私のひねくれた人格にも関係している気がする。


私のいつもより早い帰りにも何も言わないお母さん。


そのうち私はこの家を追い出されるのかもしれない。


手近にあったお菓子を食べてから自分の部屋に入った。


何もする気になれなかったけれど、とりあえず配られた宿題を並べてやるべき事の優先順位を立ててみる。


この冬は、宿題、受験勉強、部活、とやるべき事がたくさんある。


その全てに目的が見いだせない。


だらしなく背もたれにもたれると、しばらく開いていない長方形の布製の箱を見つけた。


何年か前まで私の全てだった、それ。


なんで辞めちゃったんだっけ。