「侑里(ゆうり)、どうだった?」


「テスト?」


「それしか無いでしょ」


友人の千夏(ちなつ)に鋭く突っ込まれる。


千夏は頭がいいくせに、何を気にしているのか私によくテストの出来具合を聞いてくる。


「まあ、いつも通り」


「いつもそうじゃん!

まあ侑里の『悪い』は本当はめちゃくちゃいいんだよ」


「それはないよ」


「ふうん。

……あとで成績表、見せてよね」


聞こえなかったフリをしてかわす。


暖房の空気が篭った教室は息苦しくて、居心地が悪く、一度廊下へ出る。


今は冬休み前の期末テストの結果が出てきて盛り上がっていた。


私は盛り上がるほどの結果でもないからその輪には加われなかった。


先生達も、大学受験に向けた勉強はもう始まっていると脅しなのか発破を掛けている。


だけど、現実は部活の引退なんてまだ半年くらい先なのに、実感なんて湧くわけがない。


それに、私は勉強だってそんなに興味はない。