なんてことをしてしまったんだろう。
電車に乗ってから後悔が私を襲った。
今まで積み上げてきた、真面目な「私」がガラガラと音を立てて崩れていくのが分かる。
そして、私が今までどれほどその優等生な「私」に甘んじていたことか。
絶対に泣かないと思っていたけれど、最寄り駅に降りた瞬間、人がいないことを見てから泣き出してしまった。
それでも、声を出してわんわん泣き叫ぶことはない。
静かにマスクの内側で泣いていた。
そうやっていい子を演じていないと壊れてしまう自分が嫌だった。
「今日は泣いてんのか」
聞き覚えのある声がした。
それは、私が話したい人。
「……もう治まった」
「泣いてんじゃん」
「関係ないでしょ。
……そういえば、名前何ていうの?」
「俺の?」
「そう」
「……雪宮、彗」
「どうやって書くの?」
いつぶりだろう。
人に興味を持って自分から質問するなんて。
「ユキミヤは、雪の宮って書いて、セイは彗星の彗」


