雪の光



「今日も部活?」


ホームルームが終わってから千夏が駆け寄ってきた。


「うん」


「大変だよね、テニス部」


「引退も最後の方だしきついけど、引退遅い方が勉強頑張れそうだしいいかなって最近は思ってる」


「あーもう本当に侑里っていい子だよ」


「あはは、ありがと」


「頑張って!」


「うん、千夏も」


「え!なんで?」


「だって結構気合い入れてメイクしてたでしょ。

男の子と会うのかなーって」


「やっぱり侑里には分かっちゃうかー」


だけど、そう言う千夏はどこか嬉しそうだった。


「まあね。

頑張って!」


「うん、じゃあね」


1人になってから黙々とご飯を食べ始めた。


食べる以外にすることもなく、退屈しのぎにこの前買った受験用のテキストに目を通してみる。


そうしていると、あと半年後には受験生になっていることが信じられなくなってきた。


今のゆったりとした時間が終わってしまうのが怖い。