ラインネット伯爵家の次女に生まれた私、グロリア。
体が弱く、いつもベッドの上だった。
「お母様、苦しいの。どうしてこんなに苦しいの」
「ごめんね。グロリア。お母様が丈夫に産んであげられなかったから。
グロリアの健康、全部、セシルに奪われちゃった。ごめんねぇ」
そう言ってお母様は泣いていた。
お母様が居ない時にこっそり外を何度か覗いてみたことがある。
そこには楽しそうにお話をするお姉様と知らない男の子が居た。
私はこんなに苦しいのに、お姉様ばかりずるい。
「グロリア、調子はどう?」
お姉様も1日1回は私の様子を見に来ていた。
健康な体を見せびらかす様に。
「時々、邸に来ている人は誰?」
「誰のことを言っているのか分からないけど」と言って少し考えてからお姉様は言った。
「もしかして、オルフェンのこと?」
「オルフェン?」
「ええ」
「どこの家の子なの?」
「王家よ」
何それ、私がこんなに苦しんでいる時にお姉様は王族を誑かしていたっていうの!
信じられない。
同じ双子なんだから私の苦しみをお姉様が愛時輪うのは当然じゃないのよ?
片方だけ苦しむなんて理不尽だわ。
私が苦しいのはお姉様のせいなのに。
お姉様が全部、私の良い所を持って行ってしまったからのに。
それから私はまた熱を出して寝込んだ。
「可哀想なグロリア。
セシルはあんなに元気なのに。
どうしてグロリアだけ。
セシルに全部、持っていかれた」
夢うつつで泣きながらお母様がそう言っているのを聞いていた。
そう、全部お姉様のせい。
お姉様が悪い。
それから暫くして、私はあまり熱を出さなくなった。
「グロリア、また勉強をサボったんだって」
熱を出さなくなるとお姉様から苦言を呈された。
きっと私が苦しむ姿を見られないのが嫌なんだわ。
なんて性格の悪い姉なのかしら。
「気分が悪いんです」
「でも、少しぐらい」
「いつも遊んでばっかりいるお姉様とは違って私は体が弱いんですわ。仕方がないじゃない」
お姉様はムッとした顔つきになる。
「私はいつも遊んでいるわけではありませんわ。
お勉強もしていますし、時にはお父様についていって視察もしていますの」
「何それ、ただの旅行じゃない」
「どうして、視察が旅行になるのよ」
呆れたようにお姉さはそう呟いた。
きっと体が弱いからって私のことをバカにしているのだわ。
それからまた月日が経ち、社交界に出られる年になったらお姉様はお茶会や社交界に私を誘うようになった。
きっと私と自分の容姿を比べて、私をみんなの笑いものにするつもりなんだわ。
本当に最低。
でも、そんな手には乗らないんだから。
「お母様、お姉様がイジメるのよ。
私は体が弱くて、出たくても社交界に出られないのに無理やり出そうとするの」
「まぁ、なんて可哀想なんでしょう。
分かったわ。お母様からセシルに言ってあげる。
あなたは何も心配しなくていいのだからね」
宣言通り、お母様はお姉様を叱ってくれた。
いい気味。
私の嫌がることをするからそうなるのよ。
❄️❄️❄️❄️❄️❄️❄️❄️❄️❄️❄️❄️❄️❄️
私はミハエル様を刺した。
だって、ミハエル様が私よりも違う人を選ぶから。
だからにミハエル様が悪いのよ。
私は男に騙された哀れな子。
大丈夫、みんなが私に同情してくれるわ。
だって、私は可哀想な子だから。
「グロリア、お前を除籍する」
「え?何で」
「何で?分からないのか?ああ、そうだったな。お前は何も分かっていないのだな。
姉に害をなそうとしたお前を我が家に置くことはできない」
「そうしろってお姉様が言ったの?言ったのね!そうなんでしょう」
「お前の姉は、お前が盛った毒のせいでまだ意識不明だ。バカ者」
「いつも、そう。お姉様ばかり。お姉様、お姉様、お姉様、お姉様、お姉様。
ねぇ、そんなにお姉様が良いの?どうしてみんなお姉様ばかり。
あんな顔だけの女。心根の醜い女のどこが良いって言うのよ!」
「お前はもう少し自覚すべきだ」
「いや、何をするの!放して、放しなさいっ!私はお父様の娘よ。
そんな私にこんなことをしていいと思っているの?」
お父様の命令で使用人が私を取り押さえる。
お父様の娘であるこの私に暴力をふるうなんて、伯爵家の使用人ともあろうものが、躾もなっていない。
恥さらしだわ。
きっとこれもお姉様の画策なのね。
本当に酷い姉。
私から全てを奪い取って、自分だけ幸せになろうだなんて許せない。
「クリス様、クリス様、助けて。私はあなたの婚約者でしょ」
「こういう時だけ頼られても困るよ。
それに今まで言ってなかったけど、実は僕と君はまだ正式な婚約手続きをしていなかったんだ」
「え?でも、決定したって」
「うん。でも、それは口先だけのもの。書面上はまだ婚約者でも何でもないんだ。
カーネル先生の指導が上手くいけば、手続きをして完全に婚約者として君を夜会でエスコートするつもりだったし、周囲にも君が婚約者だって紹介するつもりだった。
でも、カーネル先生の指導でもダメだった場合は君は除籍後、修道院に行くことが決まっていたんだ。
都合の良いことに君は夜会嫌いだし、友達もいないからまだ僕達が婚約することを知っている者はこの場にいる人間以外だと候補者の2人とカーネル先生ぐらいなんだ」
何それ、全然聞いていない。
そんなの知らない。
「いや、放して、放しなさい。お父様、助けて、お父様」
「お前はもう私の娘ではない。2度と顔を見せるな!」
「どうして、どうしてよぉ。お姉様よ、全部お姉様が悪いのよ。私じゃない。私のせいじゃないわ」
どんなに叫んでも私の声はお父様には届かなかった。
私はヴァンによって無理やり馬車に乗せられた。
どうして私がこんな目に。
全部、お姉様のせいよ。
お姉様が居たから私は幸せにはなれない。
お姉様が悪い。全部、お姉様が。
お姉様が私の幸せを奪ったんだわ。
酷い、許せない。
「許せない、許せない、許せない、許せない、許せない、許せない、許せない、許せない、許せない、許せない、許せない、許せない、許せない、許せない、許せない、許せない、許せない、許せない、許せない、許せない、許せない、許せない、許せない、許せない、許せない、許せない、許せない、許せない、許せない、許せない、許せない、許せない、許せない、許せない、許せない、許せない、許せない、許せない、許せない、許せない、許せない、許せない、許せない、許せない、許せない、許せない、許せない、許せない、許せない、許せない、許せない、許せない、許せない、許せない、許せない、許せない、許せない、許せない、許せない、許せない、許せない、許せない、許せない、許せない、許せない、許せない、許せない、許せない、許せない、許せない、許せない、許せない」
◇◇◇
修道院に入って半年後、私は修道院を脱出した。
私を貶めたお姉様に復讐する為に。
「よう、姉ちゃん。可愛い顔をしてんじゃねぇか」
体格のいい男数人に囲まれた。
「な、何よ」
「ちょっと付き合えよ」
「放して、気安く触らないで。私は伯爵令嬢よ。あなた達が気安く触れて良い存在ではないわ」
私がそう言うと男達は腹を抱えて笑った。
「何よ、何が可笑しいって言うの」
「あんたが貴族様?とんだお笑い種だぜ」
「そんな身なりで騙される奴が居るかよ」
「嘘じゃないわ」
「はいはい。妄想癖のあるお嬢さん。俺達がそんな妄想もできないぐらいに気持ち良くしてるよ」
「いや、放して。いや、いあやぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああああああっ!!」
「グロリア様、あなたには失望しました」
グロリアが男達に連れて行かれる場面をジークは高台から見下ろしていた。
「あなたがもし、反省して、修道院でお務めを果たしていればこんな不幸な結末にはならなかったのに。
でも、私のお嬢様を貶めた罰だけはきっちり受けてもらいますよ、グロリア様」
体が弱く、いつもベッドの上だった。
「お母様、苦しいの。どうしてこんなに苦しいの」
「ごめんね。グロリア。お母様が丈夫に産んであげられなかったから。
グロリアの健康、全部、セシルに奪われちゃった。ごめんねぇ」
そう言ってお母様は泣いていた。
お母様が居ない時にこっそり外を何度か覗いてみたことがある。
そこには楽しそうにお話をするお姉様と知らない男の子が居た。
私はこんなに苦しいのに、お姉様ばかりずるい。
「グロリア、調子はどう?」
お姉様も1日1回は私の様子を見に来ていた。
健康な体を見せびらかす様に。
「時々、邸に来ている人は誰?」
「誰のことを言っているのか分からないけど」と言って少し考えてからお姉様は言った。
「もしかして、オルフェンのこと?」
「オルフェン?」
「ええ」
「どこの家の子なの?」
「王家よ」
何それ、私がこんなに苦しんでいる時にお姉様は王族を誑かしていたっていうの!
信じられない。
同じ双子なんだから私の苦しみをお姉様が愛時輪うのは当然じゃないのよ?
片方だけ苦しむなんて理不尽だわ。
私が苦しいのはお姉様のせいなのに。
お姉様が全部、私の良い所を持って行ってしまったからのに。
それから私はまた熱を出して寝込んだ。
「可哀想なグロリア。
セシルはあんなに元気なのに。
どうしてグロリアだけ。
セシルに全部、持っていかれた」
夢うつつで泣きながらお母様がそう言っているのを聞いていた。
そう、全部お姉様のせい。
お姉様が悪い。
それから暫くして、私はあまり熱を出さなくなった。
「グロリア、また勉強をサボったんだって」
熱を出さなくなるとお姉様から苦言を呈された。
きっと私が苦しむ姿を見られないのが嫌なんだわ。
なんて性格の悪い姉なのかしら。
「気分が悪いんです」
「でも、少しぐらい」
「いつも遊んでばっかりいるお姉様とは違って私は体が弱いんですわ。仕方がないじゃない」
お姉様はムッとした顔つきになる。
「私はいつも遊んでいるわけではありませんわ。
お勉強もしていますし、時にはお父様についていって視察もしていますの」
「何それ、ただの旅行じゃない」
「どうして、視察が旅行になるのよ」
呆れたようにお姉さはそう呟いた。
きっと体が弱いからって私のことをバカにしているのだわ。
それからまた月日が経ち、社交界に出られる年になったらお姉様はお茶会や社交界に私を誘うようになった。
きっと私と自分の容姿を比べて、私をみんなの笑いものにするつもりなんだわ。
本当に最低。
でも、そんな手には乗らないんだから。
「お母様、お姉様がイジメるのよ。
私は体が弱くて、出たくても社交界に出られないのに無理やり出そうとするの」
「まぁ、なんて可哀想なんでしょう。
分かったわ。お母様からセシルに言ってあげる。
あなたは何も心配しなくていいのだからね」
宣言通り、お母様はお姉様を叱ってくれた。
いい気味。
私の嫌がることをするからそうなるのよ。
❄️❄️❄️❄️❄️❄️❄️❄️❄️❄️❄️❄️❄️❄️
私はミハエル様を刺した。
だって、ミハエル様が私よりも違う人を選ぶから。
だからにミハエル様が悪いのよ。
私は男に騙された哀れな子。
大丈夫、みんなが私に同情してくれるわ。
だって、私は可哀想な子だから。
「グロリア、お前を除籍する」
「え?何で」
「何で?分からないのか?ああ、そうだったな。お前は何も分かっていないのだな。
姉に害をなそうとしたお前を我が家に置くことはできない」
「そうしろってお姉様が言ったの?言ったのね!そうなんでしょう」
「お前の姉は、お前が盛った毒のせいでまだ意識不明だ。バカ者」
「いつも、そう。お姉様ばかり。お姉様、お姉様、お姉様、お姉様、お姉様。
ねぇ、そんなにお姉様が良いの?どうしてみんなお姉様ばかり。
あんな顔だけの女。心根の醜い女のどこが良いって言うのよ!」
「お前はもう少し自覚すべきだ」
「いや、何をするの!放して、放しなさいっ!私はお父様の娘よ。
そんな私にこんなことをしていいと思っているの?」
お父様の命令で使用人が私を取り押さえる。
お父様の娘であるこの私に暴力をふるうなんて、伯爵家の使用人ともあろうものが、躾もなっていない。
恥さらしだわ。
きっとこれもお姉様の画策なのね。
本当に酷い姉。
私から全てを奪い取って、自分だけ幸せになろうだなんて許せない。
「クリス様、クリス様、助けて。私はあなたの婚約者でしょ」
「こういう時だけ頼られても困るよ。
それに今まで言ってなかったけど、実は僕と君はまだ正式な婚約手続きをしていなかったんだ」
「え?でも、決定したって」
「うん。でも、それは口先だけのもの。書面上はまだ婚約者でも何でもないんだ。
カーネル先生の指導が上手くいけば、手続きをして完全に婚約者として君を夜会でエスコートするつもりだったし、周囲にも君が婚約者だって紹介するつもりだった。
でも、カーネル先生の指導でもダメだった場合は君は除籍後、修道院に行くことが決まっていたんだ。
都合の良いことに君は夜会嫌いだし、友達もいないからまだ僕達が婚約することを知っている者はこの場にいる人間以外だと候補者の2人とカーネル先生ぐらいなんだ」
何それ、全然聞いていない。
そんなの知らない。
「いや、放して、放しなさい。お父様、助けて、お父様」
「お前はもう私の娘ではない。2度と顔を見せるな!」
「どうして、どうしてよぉ。お姉様よ、全部お姉様が悪いのよ。私じゃない。私のせいじゃないわ」
どんなに叫んでも私の声はお父様には届かなかった。
私はヴァンによって無理やり馬車に乗せられた。
どうして私がこんな目に。
全部、お姉様のせいよ。
お姉様が居たから私は幸せにはなれない。
お姉様が悪い。全部、お姉様が。
お姉様が私の幸せを奪ったんだわ。
酷い、許せない。
「許せない、許せない、許せない、許せない、許せない、許せない、許せない、許せない、許せない、許せない、許せない、許せない、許せない、許せない、許せない、許せない、許せない、許せない、許せない、許せない、許せない、許せない、許せない、許せない、許せない、許せない、許せない、許せない、許せない、許せない、許せない、許せない、許せない、許せない、許せない、許せない、許せない、許せない、許せない、許せない、許せない、許せない、許せない、許せない、許せない、許せない、許せない、許せない、許せない、許せない、許せない、許せない、許せない、許せない、許せない、許せない、許せない、許せない、許せない、許せない、許せない、許せない、許せない、許せない、許せない、許せない、許せない、許せない、許せない、許せない、許せない、許せない」
◇◇◇
修道院に入って半年後、私は修道院を脱出した。
私を貶めたお姉様に復讐する為に。
「よう、姉ちゃん。可愛い顔をしてんじゃねぇか」
体格のいい男数人に囲まれた。
「な、何よ」
「ちょっと付き合えよ」
「放して、気安く触らないで。私は伯爵令嬢よ。あなた達が気安く触れて良い存在ではないわ」
私がそう言うと男達は腹を抱えて笑った。
「何よ、何が可笑しいって言うの」
「あんたが貴族様?とんだお笑い種だぜ」
「そんな身なりで騙される奴が居るかよ」
「嘘じゃないわ」
「はいはい。妄想癖のあるお嬢さん。俺達がそんな妄想もできないぐらいに気持ち良くしてるよ」
「いや、放して。いや、いあやぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああああああっ!!」
「グロリア様、あなたには失望しました」
グロリアが男達に連れて行かれる場面をジークは高台から見下ろしていた。
「あなたがもし、反省して、修道院でお務めを果たしていればこんな不幸な結末にはならなかったのに。
でも、私のお嬢様を貶めた罰だけはきっちり受けてもらいますよ、グロリア様」