「すみません、お聞きしたいことがあるんですが……」

誠は女性の肩に手を置こうとしたが、その手は女性の体をすり抜けていった。

「うわっ!」

誠の大声にも、女性たちは何も気にせず通り過ぎていく。

それから誠は通りすがりの人に声をかけていったが、誰も反応しない。

自分はこの世界では現実的ではないが、透明人間なのだと誠は理解した。

どうしてこんな場所にいるのだろう?あの部屋に現れた女の人を見つければ、何とかなるのだろうか?誠は考えた。

その時、女性の大きな悲鳴が誠の耳に届いた。

助けられない、そうわかっていても誠の足は自然と悲鳴の聞こえた場所に向かっていた。

悲鳴の聞こえた場所に行き、誠は驚いて足を止める。その悲鳴の主はーーー誠の部屋に現れた女の人だった。

「あの!ここはどこなんですか?あなたは一体何者なんですか!?」

女の人に訊ねるが、女の人はその場にうずくまって震えるているだけだ。

誠がどうしたらいいのかと焦ったその時、背後から「どうしましたか?」と優しい声が聞こえた。