「こっちよ、誠」

はっきりと誠の後ろから声が聞こえた。誠はゆっくりと振り返る。

そこには、白いワンピースを着た女の人が立っていた。どこかで見たことがあるその顔に、誠はどこか懐かしさを覚える。

しかし、誠はすぐに我に返りスマホを取り出す。

「あなたは誰ですか？警察を呼びますよ？」

どうやってこの部屋に入ったのだろう？どうして名前を知っているのだろう？不安が誠の胸に生まれる。

「ごめんね。驚いたよね。私は、ずっとあなたに会いたかったの」

女の人が近づいてくる。そして、誠の手を掴んだ。

目の前が、真っ白な光に包まれた。



誠が目を開けると、そこはアパートの一室ではなく外だった。イチョウ並木のきれいな道だ。

誠は靴など履いていない。しかし、冷たさなどは感じず、不思議だった。

夜だったはずなのに、ここは昼間だ。青空が広がっている。

「……どこだろう、ここ……」

誠が呟くと、目の前を笑いながら数人の女の人が通って行った。誠は「すみません！」と声をかける。しかし、女性たちは笑いながら通り過ぎていく。