自分は、両親の昔の記憶を見ているのだ。だからあんなに幸せを感じたり、安心したりしたんだ。

こんなに優しい人の子どもだったんだ、と誠は微笑む。

真紀子のもとへ父や祖父母、真紀子の両親などたくさんの人が訪れ、誠の誕生を祝福する。

誠は少し恥ずかしくなった。目の前が真っ白になっていく。



気がつくと、誠は自分のアパートの部屋にいた。

誠は、夢ではないとすぐにわかる。なぜなら目の前に真紀子がーーー母がいるからだ。

「……誠……大きくなったんだね」

母の目から、涙がこぼれる。

「お母さん……」

誠の口から、自然とその言葉がこぼれた。

愛する人を失い、その中で産むという決断をした。それはとても勇気がいることだと誠はわかる。限られた時間の中、産むという選択を選んでくれた。覚えていないけど、愛を与えてくれた。

きっと最期の時まで、自分を愛してくれていたんだろう。ううん、きっと今だって愛してくれている。