そして、父は「お父さん！お母さん！」と言いながら家の中へと戻って行った。

その様子を見て、誠一郎と真紀子は顔を見合わせて笑う。

誠が写真で見たことのある人物が、また登場した。今よりも若い祖父母だ。

「初めまして。誠一郎さんとお付き合いさせていただいております、天野真紀子と申します」

真紀子が緊張したように頭を下げる。

「この人と結婚したいんだ」

「ええッ！？」

祖父母も、突然の誠一郎の言葉に驚いていた。しかしすぐにお祝いをしようという話になり、みんなは笑いながら家の中へと入って行った。

そして、真紀子の両親にも挨拶をし、結婚式の準備が始まった。

真紀子も誠一郎も友達に祝福され、幸せな笑顔を見せていた。

誠はその顔を見るたびに、何か大切な事を思い出せるような気がして頭に触れる。ずっと昔の記憶。大切な思い出を思い出せるような気がした。

「もうすぐだね、結婚式！」

友達との飲み会の帰り道、真紀子が誠一郎に幸せそうに言う。その左手の薬指には、シンプルな指輪がはめられている。誠一郎が渡した婚約指輪だ。

「幸せな家庭を作ろう」

真紀子の手をそっと握りながら、誠一郎が言う。

きっと綺麗なんだろうな、と誠の胸が温かくなった。みんなに祝福され、永遠の愛を誓う二人はきっと何よりも綺麗だ。