「そりゃ、いつかはなくなるだろ」

「うう、せっかくの雪・・・」

残念そうな声を出す菜々美。
その頭を撫でながら、ここはカッコいい事言わないと!と思うけど、出てこない。

「クリスマスと共に雪も去って行っちゃった・・・」

そんなに残念がる事か?
やっぱり、雪を見慣れた俺には分からない。
雪なんか、家の周りにいくらでもあると思ってる。

そういえば、菜々美を朝から外出させた23日に、実家の母親に「もしかしたら、彼女を連れて帰れるかも」と電話を入れていた。
大興奮して「絶対連れて帰ってこれるようにがんばるのよ!」って言われたっけ。

思い出してクスリと笑うと、菜々美は自分が笑われたと思ったらしく、不貞腐れた。

「だって、初めての雪だったんだもん」

この歳になると、初めての事が少なくなる。
でも『ふたりで』の初めては、まだまだ沢山あるよな。

「クリスマスが終わっても、北海道には嫌って程雪があるから。また作ればいいよ、今度はふたりで」