「わぁ、きれい・・・」

ピッタリと菜々美の薬指にはまった指輪。
キャンドルの光を受けて、柔らかく輝く。

サイズも間違えてなくて、よかった。
またひとつ、ホッとする。

菜々美が指輪をうっとりと見つめてから、俺へと視線を向けた。
その目は疑問に満ちている。

「なに」

「なんでスーツに着替えたの? しかもそれ、見たことないスーツ・・・」

「プロポーズするのに、部屋着はないだろ」

本当は、思い出に残るプロポーズにしたくて、色々考えた。
このスーツを新調したのも、ホテルのレストランを予約してプロポーズ、というプランを考えついたからだ。