リビングの扉を開けて、菜々美を先頭に中へと入る。
リビングは柔らかなオレンジ色の光に包まれていた。

「・・・キャンドル?」

「うん。今年はツリー飾れなかったから、せめてそれっぽい物探してみた」

菜々美は、毎年楽しそうに小さなツリーの飾り付けをしていた。
今年はしてないな、と思ってはいたけど。

「ひろ君の事疑うばっかりで、ツリーの事忘れちゃってたんだ」

菜々美がへへ、と頭をかく。
キャンドルの放つ柔らかい光が、菜々美の横顔を照らしていた。
長いまつげに少し残った涙が、キラリとキャンドルの光を反射する。

きれいだな。

「きれいだから、いいよ」

素直に出てきた言葉だった。
だけど。