「ありがとう、菜々美」

腕にはおさまった時計を見ながら、ひろ君がゆっくり笑った。
うん、やっぱり似合う。

「どういたしまして。似合ってるね。ひろ君のイメージにピッタリだなと思ったの」

「どういうイメージなの?」

「シンプルだけど、それが格好いい」

私の言葉に、ひろ君はプイッと顔を背けてしまった。

もしかして、あんまり気に入らなかったのかな・・・?

「・・・気に入らなかった?」

ひろ君は一瞬こちらを振り向いたが、私と目が合うと、また顔を背ける。
でも、その顔は真っ赤。

あれ・・・?

もう一度ひろ君の顔を見ようと、覗き込もうとすると、ボソッと呟く声。