「最後まで、優しいね」

目にたまった涙をこぼさないように、目に力を入れながら、視線をひろ君から雪だるまに戻す。
私の前を向いた視線と入れ替わりに、今度はひろ君が私を見ている。

「・・・あのさ」

ひろ君の静かな声に、やっぱり少しビクッと体が揺れてしまった。
手に持った発泡スチロールをギュッと握って、その時を待つ。

好きな人が出来たんだって、言われるんだろう。
だから、別れてって、言われるんだろう。
これが、ふたりで過ごす最後のクリスマスだってーーー。