あ、もしかしたら、お願いしていた物が届いたかもしれない。

そう思って、ひろ君をチラリと見上げてから目を逸らした。

こんな時に届くなんて。

「ひろ君、出てくれないかな」

目を伏せながら、ひろ君にお願いする。

「あー・・・。ほら、俺着替え途中だから。菜々美出てよ」

確かに、ひろ君は着替え途中だけど・・・。
でも、ひろ君に一番に受け取ってもらえなきゃ、意味がない物だから。

「・・・この顔で出るの、嫌だよ」

「大丈夫。出て」

ひろ君にしては珍しく、強く言われる。
私が受け取っても、意味がないのに。

「でも・・・」

ピンポーン。

もう一度、チャイムが鳴る。
このままだと、不在って事になっちゃう。