「別れたくないよ!」

あふれだした気持ちのままに叫んだ私に、ひろ君が驚いて、屈めていた腰を元に戻した。

「はっ!?」

「ケーキなんて、今まで買ってきた事ないじゃん!」

「ちょっと待て! なんでそれでそうなっ」

「ずっと携帯ばっか見てるし!」

「えぇ!?」

「話しかけてもうわの空か、素っ気ないし!」

「何言ってっ」

「白石さんともっ・・・頭触らせてたぁ!」

ひろ君が話そうとしているのはわかっているけど、止まらない。
しかも、頭で考える前に言ってしまっているから、脈絡も何もない。
でも、止められないんだ。

ドン!と握った両手でひろ君の胸の辺りを叩く。
ひろ君は痛みに顔をしかめたけど、されるがまま。