運動会も終われば、6月がやってくる。
この時期は、私にとって、いや、恐らく皆にとっても最悪なひと月なのである。なんたって、中学に入って初めて行われる試練____期末考査と呼ばれるものがあるからだ。
「うっわー、テストやだわー」
ノートに絵を描きながら、最早現実逃避しているかのように、心波が言った。
「理科捨てたー。実験の意味すらわかんねえよ、みたいな。裸子植物とか被子植物とかしか理解できてねえよ的な。とりまオワコンオンパレード…」
私は、やれやれという顔を作って、余裕そうな口調で言う。実際は、そんなこと言ってる場合じゃねえよ、そんなん思うんなら勉強しろ、この馬鹿野朗、私!、と頭の中で叫び疲れている。