「最近、心波って森のことよく見るようになったよね〜」
「もしかして、好き?とか?」
「あー、まぁそうなのかなー、優子、美玲、内緒ね〜」
遠くで心波と美玲ちゃんと優子ちゃんの話し声がする。
心波が森を好き、か。内緒ね、と言った割にはバレバレだぞ。私は本を読んでいるふりして三人の会話の続きを聞く。
「でも、森ってモテるよね〜。3組のさくらちゃんも好きらしいし」
優子ちゃんは言った。
森の何処が良いんだ?ただの茶髪だろ、私には全然優しくないし、と思った。
「さくらちゃんって、優子と森と同小?」美玲ちゃんが聞く。優子ちゃんはうん、と頷く。
『どんなとこが好きー?』二人は心波に聞く。その姿はまるで記者会見で質問をする記者のようだった。
「優しくって、イケメンなところ、か…な?」
心波には森が、そんな風に見えるんだなぁ、と少し驚きつつも、そう思った。
頑張れ、と心波に二人はエールを送っていた。
新しい情報を得た、金曜日の朝。
運動会は、とうとう明日に迫ってきた。