隣席 ー君と一瞬と蟠りー


授業が終わって、一組の教室に戻る。
柚奈ミスってて笑った、水上面白いわ、などと私のことで揶揄られながら、俯いたまま廊下を歩く。教室が遠く感じる。
「水上、お前」
湯下の声が聞こえてきた。
「…言いたいのはわかってる」本当は無視をするつもりだったが、更に何か余計なことを言われそうだったので私はそう言った。
「やっぱり自覚してるんですねえー、パイセン」
先輩扱いまでされて、妙にムッときた。
そんなことで簡単に揶揄うな、歌ってないお前にそんなこと言う権利なんてないだろうが。私は眉間にしわをよせて、
「そろそろいじるのやめろやーっ!」と言った。
さーせんでしたー、と棒読みで輩は私に言ってきた。棒読みでいう必要もなにもないだろ、と適当に突っ込んでやった。

それでも、花愛のあの言葉はいつまでも、頭から離れようとしない。