ピピピ…

セットしていた目覚ましのアラームがなって、私はのそりとベットから出て伸びをした。

最近は少し寒くなってきたから、布団から出たくなくなる気持ちと戦うのが大変だ。

今日もなんとか朝の戦いに無事に勝利して、準備をしてから家を出る。

学校について教室に入ると、まだ誰も来ていなかった。
誰もいない教室に入って荷物をしまうと、私はみんなの机を綺麗に並べ直したり、軽く掃き掃除をしたりして、その後に自分の席で勉強をする。
これが私の毎日の習慣だ。

今日も掃き掃除をしていると、珍しく大宮君が教室に入ってきた。

「はよー!」

「おはよう。どうしたの、いつもより早いね。」

「うん、ちょっと早く目覚めちゃってさ。やることないから学校来た。俺が1番だと思ってたんだけど、岡崎に先越されたな。」

はは、と笑いながら席に座る大宮君。今日も楽しそうだな。

「ってか岡崎、掃き掃除1人でするとかすごいなー!毎日やってんの?」

「あ、うん。することないからね。」

「すげー!」

「すごくはない。」

「そこは、素直にありがとうって言うんだよ。」

「あ、ありがとう」

「おう!」

ニコっと笑う大宮君を見て、昨日の優奈の言葉をまた思い出す。
なんだか心臓のあたりが変な感じになってなんとも言えない気持ちになる。

「どうした?」

「なんでもない…!」

顔が少し熱くなってくるのが分かって、髪の毛を直す振りをして顔を隠した。
大宮君は、私のことをじっと見ている。
なにこれ。急にドキドキしてきた。どうしよう…

「あ、岡崎、ちょっとごめんな」

ふいに、大宮君の言葉が聞こえてきた。

その直後、すっと大宮君の手が伸びてきて私の髪の毛に触れた。


…私の髪の毛に触れた!?


「え」

驚きすぎて体が固まる。
ついでに、思考回路も完全停止。

「髪の毛、くるってなってた。急に触っちゃってごめんな!」

さら…と私の髪の毛を触ってから、驚かせちゃったよな。と大宮君は苦笑い。

「さ、さっき髪の毛触ったからかな。ありがとう。」

必死で何も気にしてないふりをしたけど、トクン、トクンと心臓がうるさい。

「ん。どういたしまして!」

幸い、大宮君には心臓の音は聞こえなかったみたいでいつもの笑顔で笑いかけてくれて、少し安心した。