「じゃあ、新しい席に机動かしてー」

先生の指示があるとみんなは新しく決まった席にガタガタと自分の机を移動し始めた。
今日はこのクラスになって3回目の席替えの日だ。
みんなでくじを引いて決める席替えは、毎回すごく盛り上がる。

「好きな人と隣がいいー!」

「彼氏と近くの席になれますように…!!」

「今の席のままがいいー!」

特に女子は、誰と隣になりたいかを友達と話したり好きな人の近くの席になれることを必死に祈ったりと、とにかく教室が騒がしくなる。

みんなが席替えを全力で楽しんでいる中、私、岡崎詩乃は淡々とくじを引く。
別に誰が隣でもいい。
クラスメイトと仲が悪い訳でもないし、友達がいない訳でもないけど、すごく仲が良い友達はいない。それに私にはみんなみたいに好きな人も彼氏もいないのだ。

だから私は淡々と引いたくじの結果を見てから、喜んでいる子や悲しんでいる子を横目に淡々と机を移動させた。