それは、幸せな時間だった。
この時間が、永遠に続けばいいと思った。
喜代美の身体のぬくもりと優しさに包まれて、いつしか眠りについた私は夢を見ていた。
そこには、住み慣れたこの屋敷で、年を経て立派に津川家の当主となった喜代美の姿がある。
そしてその傍らには、妻として寄り添う私の姿。
彼の抱く腕には、津川家の未来を担う、私達の血を受け継いだ愛しい子供がいて。
大いなる生命の息吹とともに移ろいゆく季節をふたりで感じながら、
ただ穏やかに時が過ぎてゆくのを愛おしむ。
戦争さえなければ、当たり前のように訪れるはずだった、
幸せな未来――――。
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