この空を羽ばたく鳥のように。





 べつに傷ついてなんかいないわ。
 ほら、涙だって出てこない。

 私は喜代美の一番の理解者になるって約束したもの。
 だからこんな裏切りを受けても、喜代美の意思を尊重するわ。


 だけど――――。



 「……さより」



 みどり姉さまが、心配して私を気遣う。
 他の家人達も声こそかけないが、遠巻きに気の毒そうな視線を私に向けていた。



 「大丈夫よ。私は大丈夫」



 誰にともなく笑ってみせる。



 大丈夫。私は傷ついてなんかない。