宅稽古場に連日通い続けて、五日目のこと。
「一本!それまで!」
「ありがとうございました!」
依田さまとの手合わせで一本取れた私は、自信がついて笑顔になる。
だいぶカンが戻ってきて、薙刀も自在に振れるようになってきた。身体も軽い。
(よし。調子がいい)
明日こそは竹子さまにお手合わせを願おうと、弾む心持ちで道場の端に寄り、防具を外すと流れた汗を拭く。
すると、ふいに声をかけられた。
「さよりさん」
振り向くとそこには、悠然とした笑みの竹子さま。
「竹子さま……」
「だいぶ調子が戻られたようですわね。
一度、わたくしとお手合わせ願えますかしら」
「えっ」
思いがけない申し出にドキリとする。
「竹子さまには明日、お手合わせをお願いしよう」なんて、二の足を踏んでいた私の奥底を突かれたようだった。
「あなたのおっしゃるカンがどこまで戻ってきているのか、見てさしあげます」
挑発的なまなざしで言われ、ごくりと唾を飲み込む。
「お……っ、お願いします!」
再び防具をつけると、薙刀を持つ手に力を込めた。
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