この空を羽ばたく鳥のように。





 すると、端から見ていた優子さんが私に寄り添い立ち上がらせてくれた。



 「さよりさん。姉上はずっと、あなたを待っていたのですよ。
 戻って来てくださって、本当によかった。わたくし達も嬉しいわ」

 「優子さん……」



 まわりを見渡すと、同志を迎え入れてくれるかのような優しいまなざしに包まれていて。
 その温かさに胸が熱くなり、皆をぐるりと見回すと再び深く頭を下げた。



 「皆さん……ありがとうございます」



 その日 受け入れてもらえた私は、思いっきり薙刀を振るうことができた。
 久しぶりに心地よい汗を流すことができて、幾分すっきりした気持ちにはなれたけど、竹子さまとはお手合わせ願えなかった。

 竹子さまは他の方の指導やご自身の鍛練(たんれん)に集中していて、途中で(くじ)けた私など見向きもしない。


 しかたのないことだ。
 久しぶりに薙刀を手にする私では、たとえ手合わせできたとしても、勝負は目に見えてるもの。

 残念な気持ちはあったけど、それを振り払い基本的な動きと素振りに集中した。

 今はとにかく稽古に(いそ)しもう。
 少しでも早く竹子さまに認めてもらい、対等に渡り合える勝負が出来るように。

 それから毎日、私は宅稽古場に通い、鍛練を重ねた。










 ※手合(てあ)わせ……相手となって勝負をすること。