今、喜代美がこの場にいなくてよかったと思う。
ここにいたら喜代美は、拳を握りしめてくやしがったことだろう。
越後には、金吾さまと八郎さまがおられる。
前線に赴くなら、喜代美が一番にと望んでいた地。
その地へ向かう白虎寄合一番隊九十八名、二番隊六十二名、総員百六十名の戦士たちは、高らかに響く進軍ラッパの音に合わせて意気揚々と行進していった。
その姿が小さく見えなくなるまで、私はそこにしばらく立ち尽くしていた。
戦地へ赴く兵士たちを、こうして幾度見送っただろう。
そしてこれから何度見送ればいいのか。
――――早く終わってほしい。
そして みんなこの会津に、少しでも早く帰って来られたらいい。
また元の穏やかな暮らしが、戻ってくればいいのに……。
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