文面からでも溢れ出る南雲さんの誠実さ。
いっそ、この人の事を好きだと
嘘をついて結婚してしまった方が
楽なんじゃないかと思った。

煩わしい日常から解放される。
幸いにも、南雲さんは
私がオタクだという事を知っている。
結婚して一緒に暮らし始めて
私が乙ゲーに没頭したとしても
きっと彼は咎めないだろう。

安定した生活。楽な関係。
もうそれでいいんじゃないか。

なんて、浅ましい事を考えたせいだろうか。
気付けば、私は行きますと返事を返していた。

でも、不思議と後悔はしなかった。
自分で選択肢を選べないなら
流れに身を任せ、なるようになる
道を選ぶのも案外、賢いのかもしれない。